記事紹介
記事タイトル(原文): 2024 Q3 全球 VTuber 產業分析報告:日V 持續領跑,holoEN 嶄露頭角
https://vchavcha.com/vtuber-news/2024-q3-vtuber-report/
ソース: vchavcha(中国語VTuberニュース専門サイト) 掲載日:2024年11月8日
記事の日本語要約
本記事は、プラットフォーム Streams Charts と VSTATS 提供のデータをもとに、2024年第3四半期(7〜9月)の VTuber 市場動向をグローバル視点で整理している。主な内容は以下の通りだ:
- 総視聴時間・チャンネル数の推移
総視聴時間は約4億3,300万時間で、前四半期比1.5%減少し、1年半ぶりの減少傾向に転じた。一方、VTuber チャンネル数は5,000以下に落ち込み、同様に減少傾向が顕著となった。 - プラットフォーム別の動向
YouTube の視聴時間は微減(約0.2%減)、Twitch はやや大きな落ち込み(約2.4%減)を記録。一方、韓国の CHZZK プラットフォームでは視聴時間が増加し、VTuber コンテンツへの関心の多様化が見て取れる。 - 男女比・国別の視聴時間シェア
VTuber の約70%以上が女性で、視聴時間の69.4%を日本語チャンネルが占めた。米国 VTuber はチャンネル数では2位だが、視聴時間では日本の六分の一程度にとどまっている。台湾や欧州等、他地域もわずかに増加傾向にある。 - 企業VTuberと個人勢の比較
独立型(個人勢)が市場シェアの約32%を占めるが、前四半期比では4.6%減少した。企業所属 VTuber(ホロライブ、にじさんじ、VShojo 等)は全体で約48%を占め、ホロライブは視聴時間を8.8%増、にじさんじは1.9%増、VShojo は10.5%増と堅調だった。Ironmouse は大型のサバスクリプションイベントで急成長し、市場を牽引した。 - 主要個人VTuberの視聴時間トレンド
ironmouse は視聴時間48.5%増で英語圏トップの座を維持。日本語ではさくらみこが12.4%、大空スバルが22%増で好調。兎田ぺこらは28%減と低下したが、これは配信内容やゲーム選択の影響と分析されている。 - 平均視聴者数(AV)ランキング
さくらみこ・湊あくあがトップの座を維持し、平均視聴者数での安定人気を誇る。新人・復活勢ではすいちゃんチャンネルがマラソン配信などにより高い数値を記録した。
記事の内容に関する感想
私は今回のレポートを通じて、VTuber 業界が成熟期へと進む一方、新しい課題にも直面している様子を強く感じた。まず、視聴時間とチャンネル数のほぼ同時減少は領域拡大一辺倒から一歩踏み出し、コンテンツの質や継続性がより問われる時代へ突入したと考える。
特に Twitch 側の減少傾向は、配信者の多様化により視聴者が分散し、長時間視聴の動機が希薄化している可能性を示唆している。YouTube が微減にとどまる中、もう一つの大手プラットフォームである Twitch の存在感が揺らいでおり、VTuber 活動そのものの運用戦略や収益構造に影響を与えかねない。
独立勢のシェア減は、依然として企業系に比べて視聴促進や安定感の面で苦しい状況にあることを示しているが、同時に川崎すいなどの急成長新人の登場は、今後の市場に新風を吹き込む兆しと受け止められる。つまり、一部の新興クリエイターが注目を集めつつも、全体を底上げするには至っていない現状が浮き彫りだ。
そして最もインパクトがあったのはホロライブおよびにじさんじ、VShojo といった「企業VTuber」の強さだ。特に細やかなプロデュース、グローバル展開、イベント展開の成果がデータ上で明確に示されており、業界の支配的地位は依然揺るがない。これは、タレント育成とファンマーケティングにおける組織力の賜物と言える。
同時に視聴者数トップを誇るさくらみこや湊あくあ、そして ironmouse のような海外勢の存在は、VTuber の国際化と二極化の流れを象徴しており、個人勢にも十分勝機があるという希望を与える。
業界用語の解説
- 視聴時間
プラットフォーム上での視聴者が動画や配信を見た合計時間。レポートでは全チャネルの総視聴時間が産業規模の指標として使用され、「総視聴時間の減少」は市場停滞を示す重要なサイン。 - チャンネル数
VTuberとして活動しているYouTubeやTwitchなどのチャンネル数。今回は5,000を下回った点が注目され、コンテンツ創出の熱が一巡したことを示している。 - 企業VTuber
ホロライブ、にじさんじ、VShojoなどプロダクション所属のVTuber。リソースやイベント投資によって安定した視聴時間を維持しやすい。 - 独立勢(インディーVTuber)
個人で活動するVTuber。機動性と柔軟性に優れるが、企業VTuberと比べてリソース面で不利な面があり、視聴時間シェアはやや減少傾向。 - サブアサブスクライブ・マラソン配信(サブアソン)
Twitchにおける長時間配信で、視聴者のサブスクライブ(有料登録)を促す形式。英語圏VTuberが成功事例として視聴時間・収益を大きく伸ばしている。
中国語表現の解説
- 觀看時數
日本語訳:視聴時間
解説:「觀看」は観る、「時數」は時間数の意味。VTuber産業分析では最重要指標として用いられる。 - 頻道數
日本語訳:チャンネル数
解説:「頻道」はチャネル、つまりVTuberアカウント全体の数を示し、業界の参入熱や飽和状況を測る指標。 - 企業角色
日本語訳:企業VTuber
解説:「企業」は事業体、「角色」は役割。プロダクション所属タレントを指す語。 - 獨立創作者
日本語訳:独立クリエイター(独立勢)
解説:事務所に所属せず個人で活動するVTuber。「創作者」はクリエイターの意味合い。 - 訂閱馬拉松
日本語訳:サブスクライブ・マラソン配信(サブアソン)
解説:「訂閱」は定期購読、有料登録、「馬拉松」はマラソン。長時間かけて視聴者の有料登録を促す戦略を指す。
まとめ
2024年第3四半期の VTuber 市場は、多くのファクトと共に新フェーズへの転換点を迎えた。視聴時間とチャンネル数が減少した一方で、ホロライブなど企業勢は独占的な強さを保ちつつ、新人・海外独立勢が存在感を増している。
今後は「量」から「質」へと重心が移る中、配信内容、コンテンツ戦略、プラットフォーム別最適化といった要素が求められる。特に Twitch・YouTube といったプラットフォーム戦略の差異をどう活かすか、独立勢を含む新興勢への支援構造がどれだけ展開されるかが鍵となる。
このレポートは、VTuber 業界の現状を俯瞰する上で非常に参考になる内容であり、今後の動向を見据える上で必読の情報と言える。
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